太陽の一瞬から、深宇宙の長時間露光まで。
ATR428Cは、Sony IMX428Cカラーセンサーを搭載した1型の冷却天体カメラです。太陽や月面の細部を多数のフレームで撮る用途に加え、星雲・銀河の長時間露光にも使えます。
全画素を同じタイミングで露光するグローバルシャッター、二段式TEC冷却、512MBのDDR3バッファを備えます。撮影したい範囲と出力ビット数でフレームレートが変わるため、用途に合わせて設定を選びます。
1型センサーとグローバルシャッター
撮像面は14.4 × 9.9 mm、対角17.5 mm。3200 × 2200画素と4.5 µm画素を備え、カラー画像を取得します。
グローバルシャッターはフレーム全体を同時に露光する方式です。高速撮影でローリングシャッター由来の歪みを抑えたい場合に役立ちます。



撮影範囲とビット深度で変わる速度
太陽や月面では、必要な部分だけを1600 × 1100画素のROIとして取得できます。最大値はこのROI条件の数値で、フル解像度の速度ではありません。
| 1600 × 1100 ROI・8-bit | 最大133.1 fps |
|---|---|
| 1600 × 1100 ROI・12-bit | 約66.5 fps |
| 3200 × 2200 フル解像度 | 25.7 fps(メーカー仕様表。ビット深度の併記なし) |
高速撮影時のデータ転送
512MBのDDR3バッファを内蔵し、連続して取得する画像の転送を支えます。パソコンとはUSB 3.0/USB 2.0で接続します。
HCGとLCGのゲインモードを切り替えられます。読み出しノイズとダイナミックレンジのどちらを重視するか、撮影対象に合わせて設定します。

ゲイン設定ごとの特性を読む
メーカー公開のHCG/LCG特性図を掲載します。ゲインを上げたときの読み出しノイズ、ダイナミックレンジ、フルウェル容量の関係を、撮影条件を決める際の目安にしてください。
HCGとLCGは同じセンサーでも異なる変換ゲイン設定です。図の値はメーカー測定条件に基づき、実際の結果は露光・温度・撮影ソフトなどで変わります。


冷却と結露防止
二段式TEC冷却とファンを備え、センサー温度を制御します。メーカー公称の周囲温度との差は短時間露光時に最大35℃、5秒以上の露光時に最大45℃です。
密閉されたセンサー室と保護窓のヒーターで、長時間撮影中の結露を抑えます。保護窓ヒーターはソフトウェアで4段階に調整できます。冷却とファンの使用には安定した外部電源が必要です。


長時間露光の補正素材
メーカーはアンプグローの抑制を特徴として挙げています。冷却温度を一定に管理すると、ダークフレームなどの補正素材を同じ条件で取得しやすくなります。

接続と撮影の準備
カメラ背面にはパソコン接続用のUSB 3.0端子、アクセサリー向けUSB 2.0ハブ端子、DC 12V電源端子があります。メーカーの図はフィルターホイールやガイドカメラを含む接続例です。
望遠鏡側の接続はM42 × 0.75。必要なバックフォーカスと前面アダプターの仕様を、組み合わせる光学系に合わせて確認してください。図中の周辺機器は本商品の同梱内容を示しません。

光学系に合わせたバックフォーカス構成
メーカー図はATRシリーズのカラーカメラを例に、前面アダプター、フィルター関連部品、オフアキシスガイダーなどを組み合わせた場合の距離を示します。図の構成は一例で、各部品の同梱や本商品との個別の組み合わせを保証するものではありません。
必要なバックフォーカスは使用する補正レンズなどで決まります。メーカー仕様表のカメラ側17.5 mmを出発点に、実際に使用する接続部品の厚みを確認してください。

主な仕様
| センサー | Sony IMX428C カラーCMOS(グローバルシャッター) |
|---|---|
| 解像度 | 3200 × 2200(704万画素) |
| 撮像面 | 14.4 × 9.9 mm/対角17.5 mm(1型) |
| 画素サイズ | 4.5 × 4.5 µm |
| A/D変換 | 12-bit |
| フルウェル容量 | 25 ke⁻ |
| ピーク量子効率 | >79%(メーカー公称) |
| 読み出しノイズ | 1.4–5.41 e⁻(メーカー仕様表) |
| 露光時間 | 0.1 ms–3600 s |
| バッファ | 512MB DDR3 |
| 通信 | USB 3.0/USB 2.0 |
| 冷却用電源 | DC 12V・3A |
| 接続ねじ | M42 × 0.75 |
| バックフォーカス | 17.5 mm(メーカー仕様表) |
| 外形・重量 | φ80 × 103 mm・0.552 kg(メーカー仕様表) |
太陽撮影には、使用する望遠鏡と光学系に適した太陽観測用フィルターおよび安全対策が必要です。カメラの保護窓だけで太陽へ向けないでください。冷却には安定したDC 12V・3A電源を使用してください。