【レビュー】SVBONY 冷却カメラ「SC571CC」・天体撮影用アストログラフ「SV535」

【レビュー】SVBONY 冷却カメラ「SC571CC」・天体撮影用アストログラフ「SV535」

今回、SVBONYさんより冷却カメラ「SC571CC」と、天体撮影向けのアストログラフ「SV535」をお借りしました。本記事では、基本仕様の紹介、簡単な測定、そして実写結果をまとめます。

 

1) アストログラフ SV535

 

基本スペック

  • 焦点距離:105mm
  • 有効口径:37.5mm
  • 口径比:F/2.8(固定)

天体撮影の屈折望遠鏡だとF5F7あたりが多い印象ですが、SV535105mmF2.8 という、天体撮影用としてはかなり明るいです。
望遠鏡というより「天体撮影用レンズ(アストログラフ)」に近いコンセプトで、現代ミラーレス用レンズ設計の考え方を取り入れている点が面白いところです。


光学構成

メーカー公称は 57枚(EDレンズ採用)。どのレンズがEDかは公開されていません。
構造図から見る限り、1 + 2 + 2 + 1 + 1 の構成に見えます。

光学設計の専門ではありませんが、役割としてはざっくり以下のように推測しています。

  • 前段(1枚目):F2.8の光束に対する予備補正(光束を整えて後段の補正負担を軽くする)
  • 中段(23枚目、45枚目):ダブレット構成で色収差球面収差などの補正を担う
  • 後段(67枚目):像面湾曲や周辺収差の補正を担う(特に像面近傍の負メニスカスが効く印象)

SV545のようにペッツバール型を明確に打ち出した設計と異なり、別アプローチの設計に見えます。

また、ミラーレス向けに設計されている場合、バックフォーカスが短いことのトレードオフとして、フィルター(フィルタードローワも)やOAGの追加はほぼ不可能になります。長時間露光を行う場合は、ガイドスコープを用いたガイドが実質的に必須になります。

 

周辺像と周辺減光

スポットダイアグラム上は良好で、フルサイズ対応という狙いは理解できます。
一方で小口径明るい系ゆえ、周辺は減光が出やすい印象ですが、APS-Cの場合はほとんどケラレがないように見受けられます。

フルサイズの場合、公称値において約70%まで減光しますが、口径を考えればリーズナブルだと言えます。

 

開封と組立

Eマウント用アダプターも付属しますが、今回は冷却カメラで運用。側面にアクセサリー用ネジ穴があり、ファインダー脚なども取り付け可能でした。
小型軽量なので、ストレインウェーブギア赤道儀より小さく見え、片手で持てるサイズ感です。



実写テスト

撮影は妙義山中之嶽神社にて。到着が遅く星雲撮影の時間が限られたため、F2.8の明るさを活かして M81/M82周辺の淡い分子雲を狙いました。

フォーカスはヘリコイドの手動ですが、動きはスムーズで、ピント合わせ自体は1分程度で完了。

星像は中心が非常に良好で、周辺はやや楕円傾向。ただ四隅の形を見ると、バックフォーカスの微調整で改善余地がありそうでした。星像は細く、平均FWHM1.5px程度で優秀な印象です。

 

そしては今回の実写結果です、見事に分子雲が取れました。処理はDBE以外にもそれほどの時間はかかりませんでした。

  • 鏡筒:SV535
  • カメラ:SC571CCHCGモード、Gain100300s × 64枚、-20℃
  • 赤道儀:ClearSky ST-17
  • ガイド:ZWO 30/F4 + QHY715C
  • 処理:PixInsight


2) 冷却カメラ SC571CC

SVBONYはこれまで惑星用カメラやIMX533のような小型センサー中心の印象でしたが、今回はAPS-Cサイズの冷却カメラで一気に本格派寄りになりました。
しかも価格も20万円未満。

 


アクセサリーが完備し、説明書もきちんとしている点が好印象です。

 

カメラ性能測定

まず、カメラのノイズについて少し整理しておきます。天体撮影ではターゲット光が極めて微弱であり、単フレームの露光においては有効信号=ノイズと言っても過言ではありません。したがって、カメラ側ノイズがどれだけ低いかが画質を左右する重要な要素になります。

現在のCMOSカメラで支配的となるノイズ要因は、主に次の3つです。

・露光中に発生する暗電流(ダーク)ノイズ

・センサー信号を読み出す際に生じる読出しノイズ

・光子のゆらぎ(ショットノイズ)

暗電流ノイズは温度依存性が大きく、温度を安定させた状態で撮影することが重要です。そのため、冷却性能だけでなく、撮影中の温度安定性も性能評価上のポイントになると考えられます。

読出しノイズはカメラのアナログ回路・ADC等の設計に強く依存します。

また光子ショットノイズは統計的な揺らぎに起因し、同一対象・同一条件では総露光時間が長いほど相対的に低減します。

以上より、実用上カメラの性能に大きく影響するのは、暗電流と読出しノイズの2点になります。なお、温度安定性については今回は定量的なテストは行っていませんが、撮影中にパラメータをファイル名へ記録しているため、そのログを見る限り温度は概ね安定していたと言えます。


SharpCap測定(HCG-10℃

SharpCapの測定では、公称値と概ね一致。比較として手持ちのATR2600Cも併記しました。
天体撮影ではダイナミックレンジが高い領域で使うことが多いため、Gain=100付近を見ると、SC571CCの読出しノイズは 1.54e-ATR2600C0.94e-SC571CCの方がやや大きく、その分ダイナミックレンジも少し不利になります。
ただし実写結果を大きく左右するほどではなく、価格を考えると十分納得できる範囲だと感じました。


ダークフレームの確認 

こちらもSC571CCATR2600C同条件(HCGGain100300s-10℃)のダークを10枚スタックして統計量を比較しました。この測定はPixInsightStatisticsを使いました。
今回の条件では、読出しノイズ差に対応するようにSC571CCの方がばらつき(MAD)がやや大きい傾向が見えました。
一方でホット/コールドピクセルは、私の個体について今回の条件ではSC571CCの方が少なく見えました。

 


まとめ

  • SV535F2.8の明るさは大きな魅力。中心像は非常に良好で、軽量コンパクトで扱いやすい。電子観望用途にも相性が良さそう。
  • SC571CC:価格を考えると十分しっかりした性能。これから本格的に天体撮影を始めたい方にとって有力な選択肢。

 

ブログに戻る

お問い合わせフォーム